普通が普通じゃなくなった 【日本語】

2009-09-15


写真は、ビガンの午後の街並みです。


幼い頃は、自分の生まれ育ったこのビガンという街のことを、とても古いぐらいにしか思っていませんでした。街の人達は、とても伝統的で保守的でした。都会で近代的な生活をしている自分と同じ年頃の子供達を羨ましいと思っていました。テーマパークに映画館、電車、巨大なショッピングモール、公園、チェーン展開している飲食店などにどれだけ憧れたことでしょう。 故郷のビガンを何の編鉄もない普通の街だと思っていたし、故郷を全部捨てて、いつか都会に行くんだってずっと思っていました。それは現実となり、大学進学を機に都会に出ました。そして、しばらく自分の故郷には帰りませんでした。


数年後、久しぶりに故郷に帰ったら、なんと自分の街がユネスコの世界遺産に登録されていました。一世紀以上前の家々が残っている歴史都市として評価され、フィリンピン人だけではなく、世界中から多くの人々が訪れる観光地に変わっていました。外国人の友達にも私の故郷を訪れたいから、手配をしてほしいと頼まれました。何で私の故郷を?って思って聞いてみたら、”都会に疲れたから、まだフィリピンがスペインの植民地だった一世紀前の雰囲気を味わいたい”だなんて言うんですよ!?


私があんなにも都会に憧れて、一度見捨てた故郷のビガンは、皮肉にも今では、慌ただしい都会を忘れるのに最適な場所として親しまれています。


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